本文へスキップ

JR目黒駅西口から徒歩1分の心療内科。目黒心療クリニックです。

電話でのご予約・お問い合わせはTEL.03-3490-3040

〒141-0021 東京都品川区上大崎2-24-13 304

躁うつ病(双極性障害)bipolar Disorder

安易な抗うつ剤の投与には警鐘が鳴らされる精神疾患

  1. Home>
  2. 主な心の病気と症状>
  3. 躁うつ病

初診時にうつ状態で訪れる患者さんのなかに、数ヶ月前にあるいは何年も前に躁状態のエピソードをもっていらっしゃる方がいます。

 躁状態とは普通では考えられない程、気分が爽快で気持ちが高揚した状態をいいます。おしゃべりで駄洒落を連発するようになります。自分の能力に自信がみなぎり「何でもできる」ように思え、周囲の人たちが全く能力がないように感じます。

 そのために気分が大きくなって、みんなに毎晩のように飲食をおごったり、返済能力を超えた多額の借金をしたり、個人の責任の範囲を超えた大きな取引を自分だけの判断で決めたりします。セールスを担当する人はかなり業績を伸ばしたりしますが、いつもうまくいくとは限りません。職場では気分が大きくなって上司に傲慢な態度をとったり、怒りっぽくなって人前で部下を平気で怒鳴ったりします。明るく快活な状態と不機嫌で怒りっぽい状態が混在するので周囲はどうしてよいものか戸惑ってしまいます。

 一方で、性欲が異常に高まることも多く、抑制が効かなくなるためにトラブルを招くことがあります。たとえば、男性の場合、躁状態の影響で自分の変化に気づかないまま、職場で若い女性社員に対して性的な話題やその場にそぐわない言葉をかけてしまうことがあります。こうした行動は、本人にとっては自然な振る舞いのつもりでも、周囲には当然、不適切(セクハラ)と受け取られて対人関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。

 このような躁状態が数ヶ月から数年続くエピソードを挿入するうつ病は躁うつ病と以前は呼ばれていましたが、躁状態とうつ状態の二つの極端な気分の波が現れてくることから近年では双極性障害と呼ばれるようになりました。ちなみに入院しなければならない程の躁状態が見られるものを双極Ⅰ型障害、入院まで考える必要のない場合は双極Ⅱ型障害と診断されます。とくにⅡ型障害は一般に診断が難しく、専門の医師さえ見逃していることが多いと言われています。

上で説明した躁状態はまわりの人が見ても明らかに変だと気付きますが、Ⅱ型障害の躁状態の場合はこのような症状はほとんど目立たず、その後のうつ状態のエピソードで病院を訪れます。そこに抗うつ剤を投与すると、一見劇的に改善したように見えてしまいますが、その後の躁病エピソードを誘発させてしまいます。そしてまた次のうつ病エピソードを結果的に招くこととなります。これを何年も繰り返すとⅠ型障害に移行すると言われています。

 なお、双極性障害の診断がいかに難しいかを物語る一例として、初めはうつ病と診断され抗うつ薬が処方されたものの効果が見られず、その後に双極性障害と診断が変更され、気分安定薬に切り替えられても改善が得られなかったというケースがあります。こうした背景には、病態にその時々の環境や本人の行動傾向、性格特性が深く関与していることがあり、実際には抑うつ性障害や適応障害と診断すべき患者さんも少なくありませんでした。これらのケースでは、薬物療法だけでは十分な効果が得られにくく、環境調整や認知行動療法的なアプローチが必要となります。

 双極性障害については遺伝的な原因が昔から言われ続けてきた精神疾患のひとつであり、生涯にわたって再発のリスクがつきまといます。再発予防の観点からは炭酸リチウム、抗てんかん薬のバルプロ酸、カルママゼピンそしてラモトリギンらが選択薬剤となっています。リチウムの効果が確認されてからの50年間で数百万例の患者さんが躁病発症から部分的にあるいは完全に開放されたといわれています。

 急性期の躁病に対してはリチウムを即座に投与しますが、以前は双極性障害の抑うつ状態に抗うつ薬の投与が行われていました。現在の指針では上述した理由で抗うつ剤の単独投与は禁忌とされています。尚、リチウムの投与に関しては安価でありますが、有効血中濃度の範囲が狭いため、この薬の特性について豊富な知識をもつ精神科医に限定される傾向があります。最近では統合失調症の治療に使用される抗精神病薬がリチウムと同等な効果があることが分かっており、そのうちの3剤は保険適応が認められています。


目黒心療クリニック
Meguro Mental Clinic目黒心療クリニック

〒141-0021
東京都品川区上大崎2-24-13 304
TEL 03-3490-3040