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気持ちがふさぎ込むとかやる気がでないというのは誰でもあることですし、時間が経てば回復します。ところが原因不明の身体症状が続くのがうつ病の早期の症状です。日本では心理的原因がないうつ病は内因性とよばれ(米国ではメランコリアを伴うタイプとして分類)、中高年に多くて脳の機能の障害が関係するうつ病のタイプと考えられて研究の対象とされてきました。
米国精神医学会診断基準(DSM-5)によると、メランコリアを伴うという特定用語タイプのうつ病には以下のうち3つ以上が必要と書かれています。(DSM-5
精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院より抜粋)。
1)明らかな抑うつ気分ははっきりと区別される性質の、深い落胆、絶望または陰鬱さまたは空虚感
2)抑うつは決まって朝に悪化する
3)早朝覚醒(通常の起床時間より少なくとも2時間早い)
4)著しい精神運動制止または焦燥(思考、行動のテンポが遅くなる。その影響でいらいらする)
5)明らかな食欲不振または体重減少
6)過度または不適切な罪責感(必要以上に自分を責めるということです)
2)朝に悪化と書かれていますが、もし学校、職場に原因があって朝から憂鬱だというのは誰しも同じです。ですからこれでは正確に描写されていません。3),4)のような不調が起床後にすぐ自覚されるため、不安感や抑うつ気分が起こるためです。
6)は、目前の心配ごとの結果がまだ出ていないのに、根拠なく自分のせいでみんなに迷惑かけた、とかこのままでは職を失って家族を路頭に迷わせる、、、と言ったようなある種の妄想に近いような考えの事です。ですから自分に対する理想の高い人が、現実はそれに至らないために「そんな自分が大嫌い」と述べるのとは全く異質なものです。
抗うつ剤の作用やその他の科学的なデータが集積された結果、軽症内因性うつ病に関しては脳の機能障害が一部は関与するであろうと推測されており、このタイプなら薬で病状のいくつかは改善することはわかっています。薬が効かないならこのタイプではなかったとほぼ考えてよいと思われます。DSM-5以前のDSM-IV(1994年出版)にはメランコリアの特徴にかんするページが設けられて、各生物学的研究結果の報告が最も多いタイプであるとの記載がされてありました(DSM-5ではこの記述がなくなっています)。
当院ではこのメランコリー型(あるいは内因性)と診断できる方はほとんどいません。近年では「このタイプは昔から言われた程は多くない」、あるいは「最初にこのタイプと診断され、後から誤診だったと判明した」という報告がたくさんあります。患者さんの症状の表現法も様々であり、医療従事者が自分の主観で相手の言葉を上の診断基準に当てはめるやり方では誤診がたくさん起きてくることは想像に難くない現象と言えます。
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